忘れたくないので、出会えてよかった漫画を記録します。
書き終わったあと数えてみたら10冊でした。
わたしひとりの部屋
udn氏の読み切り作品。一生忘れないめちゃくちゃ良い漫画。こんなに現代の空虚さを上手に描き出しているのは他になく、鬱々とした雰囲気がありながらもゲームプレイと重ねた切実な願いが美しくてあざやかな読み心地があった。最後のシーンで希望が全くないなか、食事はおいしく感じられるというささやかすぎる救いも将来とのコントラストが良かった。
せめて食事がおいしくてよかったとも思うし、食事がおいしいという幸福が日々を生きながらえさせてしまう残酷さもあってそれをついているところがかっこよかった。もうこんな漫画書いたら名作税で一生暮らしてほしい。心を満たしてくれる娯楽漫画も大好きだけれど、読んだことに意味をもたらしてくれる漫画は平伏してしまう。漫画家さんにずっと描いて欲しいと思うことは結構あるけれど、こんな作品を残してくれたならもう何も望むまいと気持ちになったのははじめてです。
https://bigcomics.jp/episodes/64a0b2888dd0d
恋とか夢とかてんてんてん
世良田波波さんの新連載！！手書き感の可愛さと漫画だからできる表現を探求されていて、読んでいてとても楽しい方。幸運にも同人時代の時に本を手に取ることができていたのだけど、今回の連載で化けの皮が剥がれたというか、画力・ストーリーともに一枚も二枚もむけていておったまげた。SNSストーカーしてしまうくだりとか設定は現代的なのにレトロなタッチだからギャップがあって、毎回新鮮。Web連載なので、紙で読むのが楽しみです。
https://shuro.world/episode/782/
まどわせないで矢守くん
同人からデビューされたしなちゃそさんの新連載。BL描かれていたけど絵が一般向けですよと編集者さんに言われて路線変更されたらしい。（周りの人に勧めたら、でもほっぺが常に赤いのがBLっぽいねと言っていた。なるほど）とにかく絵が魅力的。目とかシンプルな描き方のはずなのに、なんでこんなかわいいのだろうか…。Twitterのイラストも拝見してると、絵がいきいきしていて楽しく描いていらっしゃる感じが見ていて幸せ。時間が遡れたら同人時代から追っかけたい。
https://youngchampion.jp/series/c18fdae167aa1
来世は他人がいい
小西明日翔さんの作品。この方も同人からデビューされたらしく練っていたネタを連載されたよう。創作意欲が異常に高く、描くスピードがめっちゃ早いんだろうな…と察しています。エネルギッシュな方が描くものはエネルギッシュですよね。（森薫先生がわかりやすい例）
緩急あってあっという間に物語にのめり込んでしまう。何周も読みたくなる中毒性があります。
https://comic-days.com/episode/13932016480029553694
あくたの死に際
竹谷まり子さんの連載。脱サラして純文学の世界でもがく主人公の話。創作に向き合う際の気恥ずかしさとか言い訳めいた感情を中心に描いていておもしろかった。熱い展開あり、純文学ならではの事情もあり
バクマンが好きな人はこの作品にもハマってくれそう。続きが気になる漫画。
https://urasunday.com/title/2272
ようこそ！FACT(東京S区第二支部)へ
魚豊さんの連載。チしかり、視点によって世界の見え方が大きく変わるのを描くのがめちゃ上手な人だなと思った。日常生活でリテラシーのない人と出会うとその人と距離を置きたくなってしまうが、ファクトを読むとそんな自分の方が正しくないのではと思う。富裕層と貧困層の埋められない溝はこんなにも深く、絶望的なのかと突きつけられる。
有名な漫画だと思うけど、もっと話題になってほしい。あと魚豊さんは人生ウン周目みたいに見えるけど
全然若い方で、学生の頃から漫画家にまっすぐ向かってこの功績なのもやばすぎる。
https://urasunday.com/title/2484
ずっと青春ぽいですよ
矢寺圭太さんの連載。アイドル研究部で起きるオタクの青春劇。少女漫画で描かれる学生青春モノとは全く違う、けれど全く同じ無邪気な楽しさが描かれていておもしろい。漫画で描かれることはないと思っていたマジの気持ち悪い奴が、しっかり描かれていてすごいなと思った。通常の青春モノで起きるイベント（バレンタイン、夏休み）とは違ったイベントが発生するので先が読めない。カーストとか気にしてないで、オタク全力で生きる高校生活も最高だなって嫉妬が生まれる。
https://comic-days.com/episode/4856001361264085413
キリングライン
モリエサトシさんの連載。父親が失踪し孤独&貧乏な女子高生が、パパ活の最中に殺し屋に狙われ
媚を売って生き抜こうとする漫画。主人公が満たされたら殺そうとしてくる殺し屋の設定も奇抜だし、
不幸な現代の若者が愛されたいと願う様が今っぽくておもしろい。コミカルな感じもかわいい。現時点で見れる先生の作品を全てパトロールしてきたのですが()びびった際の失禁が癖のようで…。複数の作品を跨いで、お漏らしのシーンが見られます。あとはどの作品も差別的な社会構造をシーンに入れ込んでいて、
絶対に現実を忘れないぞという気概が感じられて好きになりました。
男嫌いの女性と、男女差を気持ち悪く潔癖症の恋が上手くいかない読み切りも、我々の中にある切実な思いを汲み取っている感じがして好きでした。
https://comic-days.com/episode/4856001361284097407
あくまでクジャクの話です。
小出もと貴さんの連載。ジェンダーフリーでありたい価値観とは裏腹に生物学では男女差があり卑怯な手段あり、理想と真逆のことが起きている。生物学を説く阿加埜さんのキャラクターがおもしろい。
https://comic-days.com/episode/14079602755444925507
クソ女に幸あれ
岸川瑞樹さんの連載。幼馴染の女子大生 檸檬ちゃんと体が入れ替わってしまうラブコメ。檸檬ちゃんは主人公のことが好きで、主人公は別の人 小河原先輩が好き。普通ならこの設定で終わりそうなものの、主人公の体の中に檸檬ちゃんが入っている状態で小河原先輩とデートした際に、檸檬ちゃんの気遣いが素晴らしすぎて小河原先輩が惚れてしまう。ややこしい。なので、表面上は異性愛なんだけれど、中身は百合というとんでもない大発明をかましている。すごい。大天才。
https://shonenjumpplus.com/episode/14079602755310463500
2023年も良い漫画とたくさん出会えました。
今年はコミティアにも行ってもっともっと探索したいです。
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