台風が横を通った日の結婚式

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はじめて結婚式にお邪魔した。友人のお祝い事に参加させてもらえる嬉しさと、古から続く風習に抗って自分が何かケチをつけてしまわないか心配する気持ちが混ざり合った状態だった。実際、上司によるスピーチで「新婦をはじめて見ましたが、とてもお綺麗だと思いました」と発言されているのを聞いた時は、ついクセで白目を剥いてしまった。そしてその様子はビデオにバッチリ収まってしまった。それと新郎ファーストっぽく見える進行以外は特に気になることもなく、友人が楽しそうに式を過ごしている姿を見れて、とても嬉しかった。というか、本当に思ってたよりも、なんか結婚式っていいもんだな!と実感した。二人の生い立ちを紹介する動画では、知らなかった友人の姿を見ながらも、真面目な部分や音楽好きならではのエピソードがあって、すでに知っているつもりだった友人の魅力を、深いところから知ることができた気がした。ゲストから一言もらう撮影が自分のターンに来たときは「やっぱり好きだなって思った!私も〇〇と結婚したいです!」が頭に浮かんでいたが、自分のポジションを考えるとそこまで言うのはでしゃばりな気がして「へへ...綺麗な姿を見てドキドキしました」と変態のような発言を残してしまった。こういう時に自分の気持ちを嘘なく、気持ち悪くなく伝えられる人間になりたい。

気にしているポジションというのは、仲良しランキングにおいてのポジションだ。同じコミュニティの中では私だけ呼ばれたというのもありかなり上位だろうと思い込んで式に参上していたが、結婚式に集まった彼女の友人たちを見ると、その自信は砕け散った。私はひとりだけで参加していたが、多くの人は大学からの付き合いで、参加者全員面識があるように見えた。知らなかったのだけれど、特に仲が良い人は受付や挨拶などを任されるようで、どちらにも含まれない私の立ち位置をやっと理解した。おめかしすることが友人の務めだ!と思い、半休とってまで準備していたのが、少し恥ずかしくなった。台風の影響で新幹線が止まり、私より仲が良いであろう人が来れなくなってしまったことが、代わりに申し訳なくなった。おごることなく、呼んでいただきありがとうございますの精神...。それだけでよかったのだ。

長い月日をかけてダイエットを成功させ、式前日まで徹夜で準備に取り掛かり大きなクマをつくった友人。そのかけた時間と労力によって作られたメニュー表やムービー、会場。新婦をチヤホヤする綺麗な友人たち。全員の良い式にしたいという気持ちが完全に同じ方向を向いているから、居心地がいいのかもしれない。披露宴では悪天候が晴れ上がってキラキラして、白い会場にレースを纏った人が集まり空気がふわふわしていた。

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